古民家に使われてきた木材の種類は多々ありますが、90%以上は松、ヒノキ、杉、ケヤキ、桜の5種と言われています。
古民家は地産地消の素材で作られることから、木材もその土地にあるものがそれぞれの種類の特性を活かして使われてきました。
様々な木が使われた古民家での暮らしはさながら雑木林の中で暮らすようなものなのです!。
- 全国的に古民家によく使われてきた木材21種類
- それぞれの材としての特徴
- 古民家のどこに使われているか?
古民家に使われてきた針葉樹
針葉樹は、文字通り針のように細長くて固い葉をもった木です。
- 柱や梁をはじめとした構造部分で多く使われる
- 木目が狭く、まっすぐ、均一
- 柔らかく、加工しやすい
針葉樹は代表的な8種類を紹介します。
松(マツ)

松は北海道から屋久島まで広く生息し、古民家にも多く使われてきました。
- 梁や床材でよく使われる
- 油分が多く、粘り気がある
- 磨くと艶がでる
- シロアリなど虫害に弱い
最近の新築の家や古民家リノベーションには米松(べいまつ)という輸入木材も使われることが多いですが、昔からある古民家に使われている松は地松(じまつ)と呼ばれます。
- アカマツ:海辺から離れた地域に多い
- クロマツ:海辺に近い地域に多く、海岸の防風林として広く植えられていた

海辺の松は今でもよく見るよね
杉(スギ)

杉は日本全国で伐採され、割り箸などのあらゆる生活用品に使われていますが、一番多く使われているのは住宅です。
- 基礎部分、柱、桁(けた)、板材などあらゆる要素で使われるオールマイティー木材
- 柔らかく、加工しやすい
- 温度・湿度管理に優れる
- 板目や柾目、木目など表情が様々で美しい
檜(ヒノキ)

昔から「総檜の家」はとても高級な住宅のイメージです。神社仏閣にしか使つことを許されていない時代もありました。
- 基礎部分や柱、浴槽に多用される
- キメが細かく加工しやすい
- 水に強く、腐りにくい
- 香りがよく、鉋(かんな)で削ると木目が美しい
檜葉(ヒバ)

ヒバは特に関東以北で分布しているヒノキ科の木で、能登ヒバや青森ヒバが有名です。
- 土台や縁側、浴槽などによく使われる
- ヒノキチオールが豊富で抗菌作用や防虫作用が強い
- 釘を錆びつきを抑える油が含まれ、針葉樹では最強と言われることも
その他の針葉樹 <イヌマキ・ツガ・ネズコ・イチョウ>

- イヌマキ:暖かい地域に多く、薄褐色のぼんやりした年輪。シロアリに強い。
- ツガ:キメや木目が美しく高級木材で知られる。強度があり柱などにも使われる
- ネズコ:東北から九州で見られ、天井の板などに使われる
- イチョウ:黄色っぽい白の木材で木目が緻密。加工しやすく古民家ではまな板や漆器にも使用
古民家に使われてきた広葉樹
広い葉を持つのが広葉樹で、ここでは落葉広葉樹も一緒に紹介します。
- 木目が広く、美しい
- 大黒柱や床の間の板、家具など屋内で直接目につくところを中心に幅広く使われる
- 堅く傷がつきにくい
古民家に使われる代表的な広葉樹12種を紹介します。
欅(ケヤキ)

欅は主に本州、四国、九州に分布し、広葉樹の王様として知られています。
- 年輪がはっきりし変化に富む木目が美しく光沢がある
- 大黒柱や梁、床板などに使われた
- 耐湿・耐久性に優れる

現在では高価で、高級化粧材として扱われます
栗(クリ)

栗の木は北海道の南西部から本州、四国、九州と広い範囲に生息しています。
縄文時代の巨大な柱も栗の木が使われていたそうですが、鉄道の枕木に大量に使われたり輸入材にとって代わられたりして建材として使われることは減ってしまいました。
- 耐水性があり、堅いため強度・耐久性も高い
- タンニンが含まれるため防虫・防腐作用がある
- 土台、柱などの構造材、杭などに使われる

栗は実だけじゃなく、木材としても実はとても立派です
桜(サクラ)

桜は日本全国に様々な種類が分布しています。
人が歩けば歩くほどツヤと色が出るといわれています。
- 材質や色が美しく高級感がある
- 狂いが少なく加工がしやすい
- 耐久性がある
- 大黒柱、床板、敷居はじめ緻密な加工が必要な家具などにも用いられる

桜の木のおうちってなんだかすてきねぇ
楢(ナラ)

ナラは広葉樹では日本で一番使われている木材と言われていますが、特に北海道や秋田では良質な材木がとれる産地です。
- 繊細で美しい木目をもつ
- 堅く重厚
- 床材や家具に使われる
柿(カキ)

柿は日本全国で広く見られます。果実だけでなく、木材としても活用されてきました。
- ほぼ淡色だが、時折見られる黒い芯材は黒柿とよばれ価値が高い
- 床柱、内部装飾のほか家具に使われる

古民家と柿、縁側と干し柿……
桐(キリ)

桐は北海道以南の各地でみられます。植栽されているものがほとんどで、福島の会津桐や岩手の南部桐が有名です。
- 成長が早く短期間で手に入りやすい
- 木材の中では最も軽く、加工が容易だが強度は低い
- 吸水性・吸湿性が低いため収縮膨張しにくいため、狂いが少ない
- 断熱性にも優れ、家具や金庫、楽器に使われる

昔は桐箪笥がお嫁入りの道具の定番でしたね
桂(カツラ)

桂は国内に広く見られますが、最近は生産量が減り値段の安いナンヨウカツラで代用されることも多いようです。
国産は北海道産が良質なことで有名です。
- 柔軟で加工がしやすいが、反りは少ない
- キメが緻密で、家具や欄間などの装飾材によく使用される
橅(ブナ)

橅は北海道から九州まで分布しています。
昔はあまり良質な木材とはされていませんでしたが、利用技術が進み広く使われるようになりました。
- ゴマのような濃い色の点の木目
- 変色や腐朽が起きやすいため保存性に難あり
その他の広葉樹 <槐・楡・橡・塩地>

- 槐(エンジュ):建材として使われた他、縁起木として古民家の庭に植えられた
- 楡(ニレ):木目が美しく化粧材として価値が高い
- 橡(トチ):トチノキ。木目が緻密で光沢があり美しいが、耐久性や保存性に難あり
- 塩時(シオジ):反りが少なく光沢があり耐久性が高く強い。建材や建具に使われた
その他の木質材:竹(タケ)

竹は木材ではないものの、古民家ではよく取り入れられてきた木質材として載せておきます。
竹は暖かい地域に生息するため、北海道以外の地域では広く分布しています。
- 弾力性があり、堅く丈夫
- 抗菌性、殺菌性、脱臭性が高い
- 独特な表情と素材感によるリラックスや精神安定効果
- 天井材、建具材、内装材、造作材、床材、家具材、すだれ、工芸品など
木質材としては成長が最も早いため、木材に変わるエコ材として今注目されています。
古民家で木材を見分けられる?

古民家で立派な木材に出会うと何の木かな?と気になることもあると思います。
通常木材は「どの部分に使われているか?」「木肌(キメ)・質感」などで見分けます。
ただ、古材となった古民家の木材は年季で表面が変色していたり質感が変わっているため、見分けるには長年の経験が必要です。
その古民家のオーナーさんであれば、リノベーションの時に大工さんにきいてご存じの方もいらっしゃいます。ぜひ聞いてみましょう。
様々な木で建てたられることも多い古民家。ゆっくり座って雑木林さながらに感じてみてください!
<参考書籍・参考サイト>
川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、石川るい子編著 清水康造監修「古民家暮らし私流」飛鳥新社(2002)、一般財団法人日本木材総合情報センター「木材の種類と特性」、木材加工.com「桐」、「竹」、有限会社高田製材所「桂(カツラ)」







