古民家で使われる木② 檜・桧(ひのき)

森古民家の素材
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

檜は日本国内では杉の次に多く生息しています。柱にも梁にも使われる優秀な構造材でありながら、板目も美しく化粧材としても活躍します。

世界最古の木造建築の法隆寺ではメインで使われている種樹であり、今でも高級なイメージがありますが、昔は一般庶民は使うことができなかった檜は庶民の憧れの木でもありました。

杉についても書いています
スポンサーリンク

檜の基本情報

檜林
  • 全長20〜50m、ヒノキ科ヒノキ属、常緑針葉樹
  • 名前の由来:火おこしに使われた「火の木」、尊く最高のものを表す「日の木」
  • 樹齢は2000年に及ぶものもある

天然林と人工林の有名な産地

天然林と人工林でどちらが劣るということはありません。特徴として人工林で育った檜の方が手間ひまをかけているためまっすぐ育ち使いやすいようです。

天然林では長野県から岐阜県にまたがる木曽檜が有名です。伊勢神宮の20年ごとの遷宮にはこの木曽の檜が使われています。人工林では尾鷲(三重)・吉野(奈良)・天竜(静岡)があります。

スポンサーリンク

檜は民家のどこで使われるか

檜風呂
檜といえば檜風呂

檜は古くから人々の生活の中でたくさん用いられてきました。神社仏閣、民家、仏像、浴槽、まな板、枡、扇子などです。

古民家や新民家ではこんなところで使われています。

構造材多くが柱・大黒柱・土台、屋根など
仕上げ材天井・床、外壁、内壁、框など
建具引戸、窓枠、格子框など
生活用具浴槽、扇子、まな板など

檜は強く、削ると艶が出ることから構造材にも化粧材にもなる大黒柱によく使われました。経年変化で飴色に艶光りする姿は威厳と風格を感じます。

構造材(こうぞうざい)

建物の構造の基礎となる柱や梁、土台などの骨組みのこと。またその木材

100年後のアンティーク家具へ

檜材の特徴 メリットとデメリット

ここでは檜の良いところと弱点も知って古民家にも上手に取り入れましょう。

檜のメリット

檜を使った垂木

檜は世界最高の建材といわれています。そう言われる理由はどんなところにあるのでしょうか。

檜の強み
  • 耐久性が高い
  • 加工が容易
  • 防虫・防腐・抗菌効果で保存性が高い
  • 耐水性が高く、くるいが少ない
  • 香りと美しい木目

圧倒的な檜の耐久性

1300年もの間立ち続ける法隆寺が檜の強さを証明していますが、その理由は檜は伐ってから200年かけて強度を上げ続け、その後1000年かけてゆっくりと強度を落としていくことにあります。そのため逆算すると法隆寺の檜は今ちょうど伐採された頃と同じ強度ということになります。

加工が容易

キメが細かくくるいもの少ないため構造材向きで柱にもよく使われる理由の一つです。

防虫・防腐・抗菌効果で保存性が高い

αカジノールという成分は抗菌作用があり、木材を腐らせる要因となる不朽菌を抑える効果があります。まな板などの台所用品にも使われた理由でもあります。

また、ダニやシロアリをはじめ虫を寄せ付けないのも特徴です。防ダニ剤などにも使われ、あまりにも虫が来ないため檜はバードウォッチングには不向きなのだそうです。

耐水性が高く、くるいが少ない

ヒノキチオールと呼ばれる精油が多く含まれるため水に強く防腐効果もあります。外壁や屋根で使われるのはこのためです。また、この油のため水分による変形が少ない特徴があります。

香りと美しい木目

檜のアロマチップ
アロマ効果のある檜チップ

αピネン、ボルネオールという芳香成分が含まれ強壮作用で気分を前向きにしたり、副交感神経を刺激してリラックスさせる森林浴に近い効果があります。法隆寺のメンテナンスで鉋(かんな)を当てると1000年以上経った今も檜の香りがたつそうです。

檜は木目が大変美しい木材で、光沢には高級感がありながらやさしい雰囲気をもっています。表面は白っぽいですが芯材は赤みを帯びており、経年変化が楽しめる木です。

檜のデメリット

良いところづくしの檜、自分の古民家にも取り入れてみたいなと思いますよね。こんな弱点もあるので工務店さんなど専門家に相談しながら使いましょう。

檜の弱点
  • 費用が高い
  • 塗装がしにくい
  • 独特の香りやアレルギー

費用が高い

無垢材の中でもやはりお値段ははります。理由の一つとして杉などと比べて生育に時間がかかることが挙げられます。ただし、耐久性は上述した通りですので長期耐久住宅を考えると寿命30年の鉄筋コンクリートよりコストパフォーマンスは高くなるはずです。

塗装がしにくい

檜は油のせいか色を吸収しにくい木のため、塗るとまだらができやすかったりします。もともと白木で楽しむ木でもあるので、無垢の色のままオイル塗装がいいようです。

独特の香りやアレルギー

人によってはアロマ効果のある香りも苦手な人がいるようです。香りは経年によって落ち着いてきますが、住み始めや匂いに敏感な人は気をつけた方がいいかもしれません。

檜も杉と同じで製材されたものから花粉でアレルギーになることはありませんが、木そのものの成分でアレルギーが出る人もいるようです。

社寺で使われる檜皮葺(ひわだぶき)

檜はその樹皮も使われてきました。字の通り、檜の皮で屋根を葺いています。古民家では杉皮葺(すぎかわぶき)という杉の皮を使ったものが多く、檜皮葺は神社等でよく用いられたようです。

厚さ2mmほどの檜の皮を剥ぎ取り、竹の釘を打って屋根に葺きます。原料の樹皮を採る元皮師(もとかわし)と呼ばれる職人や樹皮を曲線の美しい屋根に仕上げる職人などが減っています。

古民家を「長く使う」ための檜

720年頃に書かれた日本書紀には「ひのきは宮殿に使いなさい」と既に書いてあるそうです。その通りに全国で檜を使って建てられた神社仏閣は日本の各地にたくさん残っています。どうしてその頃から檜の特性を知っていたのか不思議でなりません。700年代以前からの経験値があったのかもしれません。

檜は高級なイメージはあるもののやはり捨てがたい魅力に溢れた建材です。今は台湾産の輸入などもされているようですが、上述した通り日本にはたくさんの植林もされた質のいい檜があります。木は適切に使い、植樹を続ける循環が大切です。長く使える家を残すためにも古民家のどこかにぜひ取り入れてみたいですね。

<参考書籍・参考サイト>

石川るい子編著 清水康造監修「古民家暮らし私流」飛鳥新社(2002)、川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、国立公文書館 -歴史と物語「2.日本書紀」、森林・林業学習館桧・檜(ヒノキ・ひのき)、庭木図鑑 植木ぺディア「ヒノキ/ひのき/檜」、日本ハウスHD「桧の特長とは?メリットや住宅に使用する最適な箇所もご紹介」、あとピッコハウスブログ「ヒノキが世界トップレベルの建築材と言われる理由」、サイエンスホーム高岡店「ヒノキの家のメリットとデメリットを紹介します!」、住空間創造ゆいまーる「無垢フローリングのヒノキ(檜)の特徴は?メリットとデメリットについて紹介」

タイトルとURLをコピーしました