適材適所という言葉は木材からきているそうです。古民家で欠かせない木ですが、その1本を見ても、全部同じ場所に使うのではなく木の部位によって家のどこに使うか変わってきます。
熟練の大工さんは年輪や年輪の模様、柾目、板目などを見極めて使い分けていました。これを木取りといいます。
木が製材されるまでの工程
木は伐採されてから建材として使われるまで幾つかの工程を辿ります。
気取りは5の製材の過程で行われます。原木から欠点となる部分を避けながら、収縮や変形を予測しつつ、決められた形や寸法に品質の高い製品を取り出します。木取りは必要な断面の材から品質の高いものをどれだけムダなく取り出せるかが大切です。
丸太の断面からみる木取り
木取りは基本的に木の中心に近い心材部分から柱や梁などの構造材をとり、その周りの辺材から垂木や鴨居などの仕上げ材をとっていきます。
丸太の中央の濃い色の部分。赤身。柱や土台、梁など構造材に使われる
心材の周辺の淡い色の部分。白太。仕上げや下地用に使われる
必ずしも下図の通りに木取りされるわけではなく一例です。
木取りの方法は、木の種類や大きさ、品質などで変わりますが、一般的には大きく質の高いものが板材や角材がとりやすいそうです。
木目の種類 柾目と板目
木にはいろんな模様がありますね。あの木目は木を製材した時の木取りした方向で変わってきます。
柾目(まさめ)と板目(いため)の違い
丸太を線維方向に切った時、木の髄(中心)を通して切ると柾目、中心を通らずに切ると板目となります。
柾目はまっすぐな縞模様の木目になります。板目と比べてとれ高が低いためコスト高になりやすいですが、反りや収縮が少ないです。
強度があり、負荷が大きいところに使われますが、平行に続く模様が美しいため見栄えが必要な場所にも使われます。
板目は不規則な等高線のような模様です。低コストで壁材や床材に向いています。自然で温かみのある「木」を感じやすい木目です。
古民家には様々な自然素材が使われていますが、何はともあれ木の伐採や製材がされていないと始まりません。
古民家に訪れた時には使われている木材が木のどんなところから取れたのか、どのように製材されたのか考えながら見ると、その部材のもともとの姿が想像できてありがたみや面白みが生まれてきそうです。
<参考書籍・参考サイト>
喜入時生著 松本幸大監修「しくみ図解 建築材料が一番わかる」技術評論社(2014)、宮元 健次「雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 神社・寺院・茶室・民家 違いがわかる!日本の建築」株式会社PHP研究所(2010)、フローリング総合研究所「「心材」と「辺材」」