古材鑑定では大黒柱は約6寸(18cm)以上など3つの基準によって判断されます。例えば家の中心にある直径18cmもの目立つ木がたっていればそれが大黒柱だと言えます。
今回紹介する大黒柱の判断基準は古材鑑定での基準をもとに紹介します。まずは古材鑑定がどのようなものか簡単に見ていきましょう。
古材鑑定ってなに?
古材とは築50年以上たつ古民家で使われる、国産の自然乾燥木材のことをいいます。時間が経つにつれて強度を増す古材は貴重な資材として高い価値を持つものが多くあります。
ここで紹介するのはこのように大黒柱への評価も行われる古材鑑定における大黒柱の判断基準です。
大黒柱ってどんなもの?
なんとなく強そうなイメージがある大黒柱ですが、家を建てる前、建てた後も大事な役割を担っています。
- 家を建てるとき、一番最初に立てられる
- 大黒柱を建てるタイミングで建前を行う
- 構造的に家の中心で家格も表す
- 住む人にとっても精神的に心の拠り所となる
家を建てる際に柱や梁などの構造を組み上げ、最後に棟木を上げる時に行われる伝統儀式で工事の無事を祈願する
基礎として礎石が置かれるとまずは大黒柱が立てられ、大黒柱からどんどん梁や桁、他の柱や差し鴨居、貫、屋根や軒桁へとつながっていきます。
大黒柱といえる3つの判断基準とは?
古材鑑定では下記の3つを基準に大黒柱を探します。
下記は田の字の間取りにある大黒柱の例です。家の中心にあり、これが18cm以上であれば大黒柱となります。
古い家は長い年月の間に増改築されていることも多いので、すぐには見つからないこともあるかもしれませんが、一番最初に建てられた本来の家の中心から探してみてください。
結構覚えやすい条件かも!
大黒柱は必ずあるものではない
伝統構法の家においても、大黒柱がない家もあります。古材鑑定では下記のような場合は「大黒柱無し」と判断されます。
大黒柱に使われる木の種類
大黒柱は家の中心にあり、間取りによっては土間や玄関から見えるところにあります。家のシンボルであり、格を表すものでもあったため強いのはもちろん良質できれいな木が選ばれます。
家の中心にある大黒柱には下から上まで四方に梁や桁がはめ込まれ、他の柱などの構造体と繋がっていきます。多くのほぞ穴を開けられながらも家を支えられる力強い木が大黒柱なのです。
桜の木が家の中心にあるってなんだかすてきねぇ
大黒柱の語源
大黒柱の語源ははっきりしていませんが、いくつか説があります。
また、大黒柱の次に太いものを中黒柱、さらに細めで小さいものは小黒柱と呼ばれます。大黒柱は一つの家に1本しかありませんが、中黒柱や小黒柱は複数本あります。
大黒柱は別名「亭主柱」と呼ばれたり、小黒柱は「恵比寿柱」と呼ぶ地域もあります。
心の支え 大黒柱
大黒柱は今では貴重なものです。こういう柱や梁が日常的に目に見えるところにあるというのは自分達が何かに支えられている、守られていると肌で感じることができたものだったのではないかと思います。
また最近「自分軸」という言葉をよく聞きますが、揺らぎの激しい時代の中で自分を見失ってしまう人が多いようです。みんな自分にとっての「大黒柱」を求めているのかもしれません。
大黒柱があるからこの「家」がある、「それらに育てられたのが自分である」、または小さな柱や梁のような「これらがあるから自分である」というような。
自分を自分たらしめる絶対的象徴的な存在が身近になくなってしまったのは、自分軸を取り戻そうとする現代の私たちと何か関係があるような気がするのです。