畳には地域差がある!畳のつくりと規格

畳縁古民家の素材
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現在はフローリングが増え使われることが激減している畳ですが、日本の気候風土に合うよう考え抜かれた床材です。畳は弾力性や保温性や芳香など取り入れたい要素が実はたくさんあります。

畳は平安時代から板間の一部だけ使われ、一般家庭で使われるようになったのは江戸後期から明治に入ってからでした。

何気なく敷かれているように見える畳にも一定のルールや規格、地域性もあるので古民家でも注目してみるとおもしろい要素です。

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畳はそもそも何で作られているのか?

客間から
長崎 波佐見の美のり窯宅の客間

畳は畳床畳表畳縁の3つで構成されています。

畳がい草で作られているのはよく知られていますが、もちろんい草だけではありません。日本は昔からお米の国です。畳は豊富に採れる稲の藁で畳床をつくり芯材にします。

そしてその芯材の上にい草を編み込んだござを畳表としてかぶせます。最後に周りを畳縁で縁どるように縫い付けて合わせます。

藁床(わらとこ)の畳床(たたみどこ)

まずは乾燥させた稲藁を40cmほどに積み上げたものをきつく締め上げて5cmほどにまでに圧縮し板状にします。これが藁床です。この藁床が畳特有の適度な弾力性を生み、保温性、室内の調湿や空気浄化作用まで果たしてくれます。

稲藁

畳の大部分がこの藁床で作る畳床となります。この藁床は特級品から3級品まで格付けがされ、藁の使用量と藁を重ねる層が多く、細かくムラなく縫い上げてあるものが良質のものとされます。その分値段もあがりますが、適切な環境と管理が揃えば長持ちしむしろ安上がりだと言われています。

藁床は重く害虫やカビが増えやすいため、現在は藁の間に木材チップや発泡スチロールを挟んだ化学床が増えています。安価で軽量、ダニ防止にはなるものの踏み心地や通気性は藁床が優れています。

い草と糸で編まれる畳表(たたみおもて)

い草

畳表はござです。よく乾燥させたい草を緯糸(よこいと)、綿糸や麻糸、化学糸などを経糸(たていと)にして編んでいきます。使われるい草の質や本数、長さ、色をもとに格付けされます。今では中国産も多いですが、品質は国産には及びません。

木材、壁材、紙材と多孔質な素材が多い日本家屋ですが、い草もスポンジ状の多孔質な素材です。有害物質を吸着して空気を浄化し、独特の芳香にはリラックス効果があります。

踏んではいけない畳縁(たたみふち)

畳縁

畳床を包むように畳表をかぶせて縫い合わせますが、い草の直角部分は折り曲げることができないため畳縁で縁取るように畳床と合わせて縫いほつれないようにします。

畳縁は身分によって利用に制限があり、家紋などが入ることもあったため踏んではいけないとされていました。

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畳は荒床(あらゆか)に敷くのが望ましい

杉の荒床
杉の荒床

畳の下地としての床は荒床と呼ばれ、松や杉の仕上げがされていない無垢材の板間です。現在は合板に敷かれることが多い畳ですが、畳本来の調湿作用が発揮できず畳の耐久性が著しく損なわれます。現在の家で畳が長持ちせず敬遠される理由の一つかもしれません。

合板(ごうばん)

ベニヤ板を複数枚重ね、接着剤で貼り合わせた木質材料

畳は地域で規格が違う

実は畳の大きさは地域によって規格が違います。関西では京間、関東では江戸間と呼ばれ大きさも京間の方が大きく、例えば同じ8畳でも部屋の大きさがかなり変わってきます。

1分約3.03mm
1寸約30.3mm
1尺約303mm
昔の長さの単位

また京間は畳割りといって畳の幅に合わせて柱の間隔を決めるため、どこの家にでも畳を転用することができます。逆に江戸間は柱割りといい、部屋の大きさによって畳の大きさを変えるため他の家には同じ畳が使えません。

江戸間や京間だけでなく畳の規格は地域によって変わり、現在は戸建や公営団地特有の規格もあります。

種類通称長さ(mm)幅(mm)地域
本間京間・関西間1910955関西、中国、山陰、四国、九州
六二間佐賀間1880940佐賀、長崎
三六間中京間1820910中京地方、東北、北陸、沖縄
五八間関東間・田舎間1760880全国

畳が減少している理由

少し前までマンションでも畳の和室がありましたが、それさえも最近はないところも多いようです。古民家再生したお店などをみても畳は見当たらないところも多いですね。畳が敬遠されるようになった理由はなんでしょうか。

  • そもそも部屋数の少ない間取りで和室がもてない
  • 和室は洋室よりもコストがかかる
  • 掃除や管理次第でカビや虫がきやすく劣化しやすい
  • 下地に合板など、素材の組み合わせが悪い
  • ベッドにテーブルなどライフスタイルの欧米化
  • バリアフリーに向いていない

調べると思いの外色んな理由が上がってきてしまい怖気付きそうですが、誰しも畳に寝っ転がった時の感触は懐かしくなることがあるはずです。日本家屋は大陸からの影響を受けた部分も多くありますが、畳は日本固有のもので実は貴重な文化なのです。

古民家リフォームであればまだまだ畳の活躍の場はあるのではないかと思います。そもそも古民家は「良いものが長く使われて」残っていくはずの家です。畳も出来るだけ取り入れてメンテナンスの手間をかけることも楽しみたいものです。

「畳の世界」畳の衰退を止めようと畳屋さんも斬新なデザインの畳など趣向をこらしています

<参考書籍・参考サイト>

川上幸生『古民家の調査と再築』一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、宮元 健次『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 神社・寺院・茶室・民家 違いがわかる!日本の建築』株式会社PHP研究所(2010)、もとやま畳店「畳を知る」、ストア・エキスプレス「合板とは? 合板の概要や種類ごとの特徴を解説」、金沢屋 日本平店・静岡葵店「和室が減少している理由6つと畳の良さと効能」

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