欄間(らんま)は、日本家屋では実は大黒柱と並んで建物の品格を表すものでもあります。
そのため様々な凝った技法で作られ芸術の域に達し、今ではとても価値が高いものとして残っているものもあります。
今回は透かし彫りや竹組子など用途やデザイン、つくりによって種類も様々な欄間を見ていきましょう!
そもそも欄間は何のためにある?
欄間は部屋の上部、天井と襖などの開口部の間に取りつけられる木製の細長い部材です。古くは平安時代からすでに使われていたようです。
襖や格子などの建具と同様、部屋を間仕切りつつも光や風を通す知恵は古民家の特徴の一つでもあります。
また、前述したように家の格を示す装飾物でもあったことから、身分の高い人の家のほか寺院などでは必ず取り付けられていました。
欄間の種類は主に6種類
欄間の種類は大きく分けて6種類あります。1つずつ見ていきましょう!
障子欄間(しょうじらんま)
欄間の枠に障子を貼ることで柔らかな光を取り入れることができます。また、引き戸になっているものも多く、夏は風を通し冬は隙間風を防いでくれます。
上の写真はベーシックなものですが、桟のデザインを工夫するなどして装飾としての欄間の機能を持たせることができます。
障子はそれ自体が引戸としてはもちろん、襖の一部にも彩光のために取り入れられるなど古民家のいろんなところでオールマイティに使われる素材です。
壁抜き欄間(かべぬきらんま)
壁抜き欄間は、壁をくり抜いて窓のように開け左官仕上げされる欄間です。
デザインの自由度が高く、くり抜かれた部分には彫刻された板や竹など左官さんのセンスやアイデアで様々な意匠がほどこされます。
彫刻欄間(ちょうこくらんま)
欄間の代表格とも言えるのが彫刻欄間で、職人さんの技術をもっとも楽しめる欄間です。
厚みのある板を彫ることで立体的な風景や花鳥風月を浮かび上がらせます。
板が厚いほど立体的なものができるため高級品なのだそうです
彫られたものが下からきれいに見えるだけでなく、木目の美しさ、彩光と通風のすべてを巧みに計算されて仕上げられます。
特に「大阪欄間」や「富山の井波彫刻」は有名で、欄間職人さんが減るなかでも国の伝統的工芸品に指定され、その技術は今も受け継がれています。
筬欄間(おさらんま)
筬欄間は細い木の桟を縦に並べてはめ込んだ欄間で、横の桟を中央・上下などに一筋から三筋ほど入れる場合もあります。
筬という木櫛のような形をした機織り道具と似ていることから筬欄間と呼ばれます。お客様を通す奥座敷など格式の高い部屋に取り付けられます。
格子建具と同じように特に細いものを並べた千本格子という組み方もあります。
透かし彫り欄間(すかしぼりらんま)
杉や桐などの薄い柾目の板に透かすようにして絵柄を彫り抜く欄間で、「陰掘り欄間」とも呼ばれます。
粋で落ち着いたデザインのため、小さな部屋や空間に取り入れられることが多いようです。
丸太の中心を通して切った、まっすぐな縞模様の板目
竹組子欄間(たけくみこらんま)
竹の素材感をそのまま活用し、藤のつるなどを使ってさまざまな組み方ができます。
また竹の節を模様として活かし、桐などの板にはめこんだ欄間は節抜欄間(よぬきらんま)と呼ばれます。
素朴さを大切にする茶室で好んで取り入れられてきました。
欄間の絵柄と職人の技術
彫刻欄間や透かし彫り欄間などに取り入れられる絵柄にはおめでたいものが好まれます。
下記のようなものがありますので、古民家で欄間を見かけたらぜひ探してみてください。
欄間は前述の通り、大黒柱と同じく家の品格を表すもののため、職人さんの美意識やセンスそして技術が重要です。
芸術品として扱われるものもある欄間ですが、現在は和室自体が減り欄間職人さんも少なくなっています。
古民家や寺院などに出向くことがあればぜひ欄間にも注目したり、古民家リノベーションなどでも取り入れてみたいですね!
<参考書籍・参考サイト>
川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、いい部屋ネット「筬欄間」、大阪府「製品紹介 大阪欄間・大阪欄間彫刻」、BECOS「欄間(らんま)とは?欄間の種類・彫刻のデザイン性や魅力をご紹介!」