今回はネット上に見られた施工会社選びの失敗例のうち、古民家リノベーションの実績がなかった場合どうなるかと、信頼できる工務店や施工会社の見つけ方を紹介します。
古民家のリノベーションは、歴史的な建物を保存したり活かしながら現代の生活スタイルに合わせるための複雑なプロセスになります。
施工会社の選択は、成功と失敗を左右する重要な要素です。これらは工務店や施工会社だけなく、建築士さんも同じです。
古民家の知識や実績がない会社は多い
古民家の特に伝統構法の家になると、現在の家の建てられ方とはかなり違いがあります。現在の建築基準法には伝統構法についてほとんど記載されていないため、そもそも勉強していない建築士さんや施工会社も多いです。
それにも関わらず、「実績がある」「得意ですよ」と営業してくる会社もあります。そういった時はその実績を確認させてもらいましょう。
施工した家の写真を見せてもらえますか?
やたらと拒否してきたり、個人情報だからとまったく見せてもらえない時はやめておきましょう。
本当に自信があればHPなどでももちろん
個人情報は伏せて載せてくれていますよね
古民家の知識や施工実績がない工務店での後悔
そういった工務店や施工会社に依頼してしまうとこんな後悔につながります。
一つずつ見ていきましょう。
安全性に不安や修繕の多い家になる
古民家再生やリノベーションは、新しい建物を建てることとは大きく異なります。古い建物は基礎から構造的な特徴、伝統的な建築技術や材料を使用しています。
古民家の知識や技術、経験不足に加えて悪質な工務店や施工会社に依頼してしまうと古民家らしさや施主の希望どころか安全性にまで不安が残ってしまいます。
また、長期優良住宅としても大きな可能性のある古民家にも関わらず住み始めたあとも劣化や損傷が続いて修繕の多い家になってしまいます。
施工会社のやりやすいリノベーションをされる
古民家を大切に思っている工務店や施工会社は、その古民家の使えるところはできるだけ残そうとしてくれます。
それが古い家を残す意味でも、施主の負担を減らす意味でも大切だからです。
技術や知識があれば可能なそういった作業も、分からないければ自分たちの扱いやすい資材でやりやすいようにリノベーションされてしまい、結局イメージとは違ったものになってしまった……ということも起きてしまいます。
設計変更に対応できない
古民家はリノベーション前の調査をしても、フタを開けてみなければ実際のところは分かりません。
新築では起こり得ないことが十分起こります。
その都度柔軟に対応できる知識や技術がなければ余計な納期の遅延となり、そのためのコストや生活の場など施主さんの負担やストレスが大きくなります。
アフターフォローに対応できない
古民家が100年以上ももつ家であるのは、ずっと修繕などのメンテナンスを長い間続けてきたからです。
せっかく古民家再生やリノベーションをするのですから、先人たちのように家を大事にしていきたいものですが、そのフォローを施工会社ができないのでは意味がありません。
そもそも知識や技術のある会社は建てたあとの管理や保持も念頭にリノベーションしていくため、アフターフォローだって得意ですし経験もあります。
施主さんと同じように古民家を大事に思ってくれている会社であれば何かあれば現場にきて一緒に考えてくれるはずです。
何もなくても雑談ついでに家の様子をさりげなく
見てくれる大工さんもいるそうですよ
仲良くしたいねぇ
古民家リノベーションに失敗しない!工務店や施工会社を探す方法
では信頼できる会社はどのように探せばいいのでしょうか?
地元密着型の工務店を探す
建築業界も新築はすでに飽和状態で、逆に既存住宅はこれから需要が伸びることもあり、大きな建設会社や施工会社も古民家リフォームに乗り出しています。
ですが地元の工務店は昔から古い家について知識があることも多く、その土地の気候を知っていて、身近で実はとても心強い存在なのです。
大きな会社は確かにネームバリューはありますが、その分広告費や人件費など莫大でその負担は結局施主にかかってきます。
また、地域というのはうわさも広がりやすい小さなフィールドです。悪質なことをすればすぐに知られてしまいますから、特に長く頑張っている工務店さんはその地域で信頼があるということになるでしょう。
実際に古民家リノベーションした建物を訪ねて聞く
なかなか一般のお宅を突然訪問することはハードルが高いですし、お相手も警戒してしまうかもしれないので、まずは古民家をリノベーションしたお店や宿泊施設を訪ねてみます。
そこでどこの会社や建築士さんに依頼したのか、リノベーションしてどれくらい経つか、修繕の頻度や満足度などお相手に差し支えない範囲で聞いてみてください。
聞いた会社や建築士さんのHPなどに他の施工例が載っていれば見に行ったり、直接話を聞きにいきましょう。
また、物件管理していた不動産会社も聞いておくと、物件紹介や工務店とつながることもできるかもしれません。
色んな団体等で調べる
なかなか古民家を直接訪ねる機会がなければ全国古民家再生協会や日本民家再生協会のHPなどで近くの支部を調べることができます。
そちらで会社をピックアップしてHPをチェックしたり、施工実績を見に行ったり、直接訪ねてできるだけ色んな会社の話を聞いてみましょう。
また、古民家を取り扱っている不動産会社も訪ねてみるといいでしょう。
古民家鑑定士の資格をもった不動産屋さんが見つかれば
工務店とのつながりもあるかもしれません
イベントに参加する
古民家にまつわる場所ではさまざまなイベントが開催されています。お近くに下記のような場所があれば参加し、人脈を広げていろんな人と繋がることで工務店や施工会社の情報を集めてみましょう。
伝統再築士などがいるか
あくまでも目安のひとつですが、
- 伝統再築士
- 伝統耐震診断士
- 伝統的構法による木造建築物状況調査技術者
など建築士の資格をもちつつ、古民家の伝統構法の知識もある人がいるかも尋ねてみるといいかもしれません。
古民家を扱っている工務店には建築士もいる場合があります。ただし、もちろん資格があるだけで実績がない場合は慎重に考えてください。