古い家をこれからどうするか、まず何から始めればいいか悩んでいる人は多いと思います。そんな人はまず建物の状態がリノベーション可能か、または解体したほうがいいかの簡易的な調査をする木造住宅簡易鑑定を考えてみませんか?
1棟3万円(税抜・2022年3月時点)と費用もリーズナブルに依頼ができるので、古い家をどうしようかと悩んでいる人にはおすすめします。
今回は木造住宅簡易鑑定の詳細について紹介します。
木造住宅簡易鑑定ってなに?
木造住宅簡易鑑定は、一般社団法人住まい教育推進協会が空き家や中古物件等の市場への流通活性化のために建物の状態を簡易的に調べ、今後の判断をするインスペクション(家の状態診断)調査です。
概要のポイントは下記の4つ。
木造住宅には下記のような構法のものがあります。
シルバー人材センターの資格者が調査
調査は「一般社団法人全国古民家再生協会」と「公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会」が連携して行われます。
各地域のシルバー人材センターに所属している会員が「木造住宅簡易鑑定士」として育成されます。
一般社団法人全国新民家推進協会や一般社団法人全国古民家再生協会は
新民家や古民家に関して全般的な相談ができるところです
実際に古い家に住んでいたような
シニア世代が活躍しているんだね!
調査は現地で目視で行われ、必要に応じてインストラクターも同行します。調査結果をもとに「木造住宅簡易鑑定書」が発行されます。
木造住宅簡易鑑定の流れ
実際に鑑定を依頼するとどのように進んでいくのでしょうか。
- ステップ1一般社団法人全国古民家再生協会へ依頼する
各地域に支部があるため、お近くの支部に連絡しましょう
- ステップ2木造住宅簡易鑑定士が現地調査する
古民家再生協会の各支部から業務委託されているシルバー人材センターの木造住宅簡易鑑定士2名が現地へ来て調査します
- ステップ3木造住宅簡易鑑定書の発行
依頼者への鑑定料金の請求と調査結果の説明は古民家再生協会や新民家推進協会の担当者が行います。(料金の支払いタイミングは依頼時に確認してください)
- ステップ4「改修」「流通」「建替」「移築」「解体」を検討する
鑑定書をもとに依頼主が今後どうしたいのか検討します
木造住宅簡易鑑定の調査内容
それでは実際に何をもとにどうやって調査や評価をされるのか紹介します。
必要に応じて彼らのインストラクターである新民家推進協会や古民家再生協会の担当者が同行することもあります。
料金については依頼時に最新の価格をご確認ください。
木造住宅簡易鑑定調査票にはどんな項目がある?
「簡易」鑑定だと、どの程度調べてもらえるのか気になりますよね。
鑑定のための調査票には20項目あり、それぞれどのような状態か調査されます。
- 建物の推定築年数
- 建物面積
- 建築構法
- 外壁からの雨漏り
- 外壁材仕上げ
- 外壁材改修履歴
- 開口部
- 基礎
- 基礎周辺
- 屋根からの雨漏り
- 屋根仕上げ材
- 屋根仕上げ材改修履歴
- 内部改修履歴
- 内装仕上げ
- 水廻り
- 蟻害
- 腐朽
- 壁面傾き
- 外部工作物(塀や庭など)
- 居住状態
それぞれ、使われている資材の素材や状態、リフォームの有無や、リノベーションが必要かなどが目視で確認されていきます。
外観や内部、水回りのほか、劣化している箇所があれば写真を撮影して記録します。
鑑定結果ではどう評価されるの?
木造住宅簡易鑑定書に記載される判定結果
以下の3段階で鑑定結果が記載されます。
川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)420頁 (改行は筆者による)
- 残念ながら解体をお勧めします
- 修繕後の活用をお勧めします
- 流通活用をお勧めします
依頼者はこの判定をもとに「改修」「流通」「建替」「移築」「解体」を選択していくことになります。担当者からも説明があるので話を聞いてみましょう。
リノベーションなどの改修となった場合は
古民家鑑定することになります
その他鑑定書に記載される項目
鑑定書にはその他にも2つの項目が載っています。
- 古材の査定額
- 地球環境への貢献度
もし解体となった場合、家の構造部材となっている古材は全国古民家再生協会の指定業者で解体を実施した場合、この査定額で買い取ってもらうことができます。(※別途解体事業者との契約が必要です)
また、鑑定書にはブナの木の本数が書かれます。これは家を再活用した場合のこの本数分のブナの木に含まれている二酸化炭素が削減できますという目安になっています。新築するよりも地球環境への貢献度が高くなることを示しています。
注意:不動産鑑定評価ではありません
鑑定書にも書かれていることですが、この木造住宅簡易鑑定は下記の点に注意して利用してください。
- 建物の性能や資産価値の維持のための判断材料を提供している
- 建物の欠陥を発見するための評価ではない
- 法的な資料とはならない
- 不動産鑑定評価書ではない
この鑑定はあくまでも古民家の再活用の促進を目的としたものです。法的な根拠はないため利用目的に注意してください。
ただし、現在空き家となっていたり、居住者が高齢の場合などは今後その家をどうするのかを検討するための第一歩にもなります。
2023年3月には空き家対策措置法の改正もあり、今後こういった調査の依頼は増加することが予想されます。比較的安く家の状態を知ることができるものですので早めに活用しましょう!
<参考書籍・上記以外の参考サイト>
川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、一般社団法人全国古民家再生協会「シルバー人材センターとの連携」