今回は福岡県朝倉市の重伝建地区、秋月にある「ウィークエンド珈琲ギャラリー 水の音 土の音(みずのね つちのね)」にお邪魔しました!
なんだか引き寄せられるように訪れることになったこの古民家、建物自体も魅力的ですが運営するご夫婦のあたたかさがふんわり詰まった居心地のいい場所でした。
古民家に行くとそういうのがやっぱいいんです
古民会、久しぶりに参加できてテンション上がりました!
水の音 土の音は築95年
「水の音 土の音」がある秋月は国に重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。秋月は城下町として栄え、昔の町並みが色濃く残っている地域です。
そんな秋月でオーナーご夫婦が5年物件を探し続けて出会ったこの古民家は築95年。1928年(昭和3年)で、14年前に「水の音 土の音」としてオープンしました。
ご主人は平日は福岡市で個人事業主としてお仕事をされており、奥様は陶芸からお店のケーキ作りまでこなすアーティストです。奥様が窯をそえられる築150年の土蔵があったことも決め手の一つでした。
- カフェ
- ギャラリー
- レンタルスペース
- 陶芸体験
- 婚活支援
この日秋月を出ようと車を走らせていたときに偶然発見したこの古民家、なんだか引き寄せられたように車をUターンさせてお邪魔しました!
引き継がれた思い出の外観
昔の家らしい入母屋屋根の建物です。前庭もあってすごくいいのですね。元々一般の民家だったそうでプライバシーが保たれたお家となっております。すぐ前は水路になっていて、重伝建地区らしい町のつくりがそのまま残っています。
購入時、売主さんからはこの外観は残すことという条件だったそうです。昔からこの場所でこの姿のまま残り、家の歴史や思い出が詰まった場所。今は水の音 土の音のオーナーさんがその歴史の一員となり引き継いでくれています。
私たちも未来の子どもたちも、
引き継いでくれる人がいないと目にすることができないものね
玄関に近づくと古民家好きなら震えちゃうすてきな格子戸がお迎えしてくれるのです。中からぼんやり見える明かりがきゅんとさせてくれるではないですか!
戸をカラカラと開けてお邪魔します。
水の音 土の音のギャラリーで感じる古民家らしさ
中に入ると正面すぐはギャラリーになっています。陶芸家の奥様の作品や家具作家さんの作品などが並びます。みているだけで楽しいスペースです。
作品だけでなく、作品がおいてある古家具も嫁入り道具が入っていたものなどなかなか見られない年季ものです。
お店のインタスタグラムで作品やイベント情報もみられます。他ではなかなか見られない個性的なデザインが並びます。
玄関を反対側からみたところです。見上げると梁が2本並び、一本は製材されていない丸太がのせられています。
95年の間に改築や修繕はあったかもしれませんが、建てられた年からみても伝統構法で建てられたお家ですね。壁は漆喰の真壁づくりです。
伝統木造家屋で用いられる柱や梁が露出しているつくり
伝統構法のお家はやっぱり古民家然としていてかっこいい!
ギャラリーの床はもともとは敷地内にある土蔵(明治6年築で家より古い!)の床でした。150年経っても遜色なく使える木材のしたたかさに改めて感心させられます。
伝統的なつくりの家はこうやって部材を再活用できるのも大事な特徴の一つです。
土蔵の二階への階段として使われていたものは上部が朽ちていたそうですが、現在はすてきなギャラリーの飾り棚として活躍しています。
並ぶ明るいターコイズ色のカップと傷やこすれがたくさん入った古材の色がなんの違和感もなくフィットしています。
それにしても階段の幅が狭い!
昇れても怖くて降りられなかったかもしれない……
小さな座敷と生活が詰まっていた一階
玄関を入ってすぐ右手は現在はレンタルスペースとなっています。お邪魔した時は書家さんの個展が開かれていました。
奥には床柱や付書院の小障子らしきものがあります。床の間だったようです。敷居や鴨居が残っていることから元は2つの座敷だったのでしょう。
格子の欄間もおしゃれだね!
奥のカフェエリアと合わせると小さな部屋が5〜6部屋ほどあり、10〜12人の家族が住んでいたそうです。
お店の奥へ進むとカフェになっています。大小のテーブル席やソファ席など5〜6つほど。これらの家具が家の古材の色に合わせてあるかのようになじんでいます。毎度センスがいいのです。
写真中央の引き戸をはじめ、一枚をのぞいて元からあった昭和レトロなゆらぎガラスの「レトロン」が残っています。
昔の製法の手吹きで作られたガラス。機械で作られたもののようにきれいな平面にはできないためガラスが波打っているように見える。レトロガラスとして今人気がある
一枚だけなかったものはオーナーさんがオークションで買ったのだそうです。建具は規定があるようでないものらしく、地域やその家によってサイズや厚さも微妙に違うため、大きければ削ったり小さければ板材を付け足すなどして再活用するそうなのですが、この建具は一発でピッタリはまったのだそうです。
オーナーさんはなんでも良いもの引き寄せそうな
いかにも「もってそう」な方なのです。
オーナーさんがコーヒーを作ってくれるカウンターです。前に大きなダイニングテーブルがあり、お話しながら過ごしているうちにだんだん親戚の家に遊びにきたみたいな居心地の良さになっていくのです。
古民家のお店に行くと親戚増えていくよね
お金払うのも忘れて出ようとしてましたよ
カフェの奥には薪ストーブ。古民家と薪ストーブが出てくるともう「うらやましすぎて悔しい!」しかないのですが、季節もギリギリ間に合って火が入っていました。
お店の中をうろうろしすぎて時間がなくなってしまったので、冬来たときには今度はゆっくり火を眺めたいものです。
この薪ストーブの煙突をたどって上を見上げると吹き抜けになっています。二階の床が取り払われて梁に木組みのあとがたくさん残っていますね。
写真でもわかるようにこのお家の古材はかなり黒いのですね。古色塗装した箇所はないそうで自然のままの色だそうです。「囲炉裏があったのかもしれないね」とお話していました。
部材の色の不調和を解消するために古材に似た色を新材などに塗ること。柿渋に松煙などの顔料を混ぜたものが使われる。
それにしてもどこを見ても95年も経っているとは思えないほどきれいです。それだけこの家に関わってきた人たちがこの家を大事に思い、手をかけてきたからに違いありません。
思いは目に見えないものと言いますが、古民家は時を経て「思い」を直接目にすることができる場所なのだと思います。
水の音 土の音のお手洗い
この小窓!思わず鼻息荒くなってしまいましたが、なんてかわいらしんでしょうか。
この小さな窓なら枠の框(かまち)部分だけでもいいでしょうに、わざわざ内部の縦横に桟をいれてしかもそこに小さなガラスをはめ込んじゃうというこまやかさ。しかもお手洗いだからちゃんとすりガラス……。
こういった手がかけられたデザインは昔は多くの建具師さんが活躍していたからできたことかもしれません。
許されることならこの小窓だけひっぺがして持って帰りたい
許されないわ
もう本当に毎度お手洗いまでどうもすみませんなのですが、こんな感じですてきな古民家はお手洗いまでもすてきなのでいつもチェックせずにはいられません……。
水の音 土の音を味わう
この日は二人ともレアチーズケーキセットをいただきました。あっさりとしたしつこくないこのケーキは奥様のお手製ですが、ケーキだけでなくカップやお皿も奥様が作ったものなのだそうです。手作り三昧で楽しめます。
ケーキセットは他にプリンやシフォンケーキがあってどれも700円。縁結びセットというケーキ2個にコーヒーおかわり自由でなんと1100円というお得すぎるメニューもあります。近くにあったらPC持ちこんで日がな一日入り浸ってしまうことでしょう。
水の音 土の音のメニューは板に書かれていてとてもかわいいのに
撮り忘れてきました……!いつも何か撮り忘れる!
たくさんお話しを聞かせてくれたオーナーさん!
本当にありがとうございました!
ウィークエンド珈琲ギャラリー 店舗情報
住所 :福岡県朝倉市上秋月1642
TEL : 0946-25-0366
<営業時間>10:00〜18:00
<定休日>平日(土日祝のみ営業)
<駐車場>店舗前の木工塾、「木ごごろ」駐車場(4台)、そのすぐ隣にあるP駐車場(70台)
現金のほか、PayPayが使えました
\もし秋月に泊まるなら近くに秋月温泉 料亭旅館 清流庵などがあります/ 秋月は素敵な場所がたくさんありますよ!