古民家に住んでみたい人や実家の古民家を改装を検討するとき気になるのが費用です。DIYや工務店にお願いするなど色々方法はありますが、大体数百万円から新築並みにかかると考えておいたほうがいいようです。
家の年代、状態によっては工事開始後も思わぬ出費がかかることもあるのが古民家リフォームですが、まずは基本的な箇所やリフォームされることが多い箇所に絞って調べました。
古民家リフォームにかかる費用にはどんなものがある?
実家の古民家の改装であれば水回りだけなど部分的になることも多く、その場合は数百万で済むこともありますが、基礎や屋根などの家の構造の修繕となると大規模になり2000万円以上かかってくるようです。これはもちろん古民家を購入した場合も同様です。
かかりうる費用にはこんなものがあります。素材や工法によっても大きく変わることがあるためあくまで目安としてご覧ください。残っている素材や部材が再活用できれば安く済む場合もあります。
40坪の古民家でみたリフォーム費用
40坪ほどだと大体平屋サイズですね。
項目 | 目安 |
---|---|
物件購入費用 | 0円〜1000万円以上 |
インスペクション費用 | 5万円以上(売主が負担済の場合もあり) |
壁リフォーム (40坪程度) | 100〜200万円 |
床仕上げリフォーム(40坪程度) | 200万円程度 |
建具替え(40坪程度) | 100万円程度 |
キッチン・トイレ・バスルームの水回りすべて (古いものの撤去、配管工事、電気配線工事、ガス工事、内装・窓工事等) | 500万円程度 |
断熱リフォーム(40坪程度) (床下・壁・天井・窓サッシ等) | 200〜1500万円程度 |
屋根リフォーム(40坪程度) (塗り替えのみ〜葺替え) | 50〜300万円以上 |
耐震リフォーム(40坪程度) | 1000万円前後 |
電気工事(40坪程度) | 100万円前後 |
その他(解体・処分・足場建設など) | 10〜300万円程度 |
40坪で平屋サイズだとすると、2階以上あると床や壁、断熱リフォームはもっとかさみます。
費用が大きくかかる耐震リフォームですが、伝統構法で建てられた古民家であればむしろ地震に強い免震的な構造のた最低限で済むこともあるかもしれません。逆に1981年までに在来工法でつくられている古民家であれば新耐震基準を満たしていない可能性があるためしっかり費用もかけた耐震リフォームが必須です。
屋根リフォームは費用の大きな幅がありますが、金属屋根の塗り替えだけなら数十万、伝統的な茅葺きの葺き替えとなると2000万円以上かかることもあるそうです。
予算は先に決めておく
住みたい古民家のイメージはあると思いますが、こだわりすぎるとコストも莫大になります。先に予算の上限を決めておきましょう。水回り優先!や寒さ対策優先!など決めて優先順位をつけるといいでしょう。
また以前の記事で、「完成イメージを具体化させておく」大切さについて書いたのですが、これらのリストにも優先順位をつけていきます。順位の高いものから予算内に入れ込めるか検討しましょう。
どこまでやるか、いつやるかで費用を考える
前述した費用リストのうち、すべてやる必要もなければ、一度にやる必要もないかもしれません。1階部分のみなど範囲をコンパクトに狭めて費用を抑えることもできます。
また、居住スペースのみまずは修繕し外壁はその後など、リフォーム時期をずらすことで費用負担を分散させることもできます。
補助金制度や減税を活用する
空き家対策や少子高齢問題、循環型社会実現のために国や行政も中古物件の再活用や古民家再生に力を入れています。利用できるものはもれなく申請しましょう!
補助金制度は施工契約前に相談と確認をしよう!
国や自治体では中古物件のリフォームや古民家再生事業の支援として補助金を出しているところがあります。こういった補助金は施工業者等と契約する前に申請しなければ受けられないものもあるためリフォームの検討を始めたらまずは一度役所等に相談に行ってみましょう。
代表的な補助金制度です。申請にはそれぞれ条件があります。自分に当てはまるものがあるか調べたり役所で聞いてみましょう。
リフォーム後もしっかり控除申請して減税をする
減税も古民家再生や中古物件リフォーム適用となるものが色々あります。リフォーム後安心して年末調整や確定申告で控除申請を忘れないようにします。
減税できる可能性のある税金です。
古民家リフォームは全体的・長期的に考える
古民家は0円でも売買されていますが安易にとびつかず、補助金制度が豊富な地域を選んだり長期的に減税されるローン減税など加味して全体的・長期的にトータルいくらの負担になるか考えることが大切です。
古民家リフォームは通常の住宅とは違い、伝統技術をもつ職人さんや特別な部材を取り寄せなければならなかったり、解体し始めてから使うはずの部材が使えずさらにコストがかかったりと、もはや新築以上に費用がかかってくることもあります。
ただ、現在多く建てられている新築は同じ費用をかけたとしても平均寿命は30年ほどです。対して適切な素材を使いメンテナンスしていく古民家は100年以上もちます。数世代にわたって安全に住み続けることができることを考えるとコスパは歴然です。
子孫は家を建てる必要がなく、そのための費用を教育や趣味など人生を豊かにする他のものにかけることができるのです。古民家リフォームはそんな意味でも全体的・長期的に考える価値があるものではないでしょうか。
<参考書籍・参考サイト>
喜入時生著 松本幸大監修『しくみ図解 建築材料が一番わかる』技術評論社(2014)、川上幸生『古民家の調査と再築』一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、ハレノヒ住まい「古民家のリフォームに使える補助金・減税制度を詳しく解説!」、アキサポ「古民家再生の補助金制度を理解してリフォーム費用を安く抑えよう!」、たてぞう「【徹底解説】古民家のリフォームにかかる費用について」、お家のいろは「40坪平屋の間取り例と費用相場|失敗例に見る4つの注意点」、一般社団法人住まい教育推進協会「古民家鑑定とは?」