バリエーション豊富な襖。種類や貼り方、引手の種類を紹介

襖 欄間古民家の空間と部位
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襖(ふすま)の種類は形状や和紙の貼り方、使われる和紙の種類や引手の組み合わせで実はかなりいろんなデザインがあります。

今回は古民家と切り離せない間仕切りのための建具、襖の種類とデザインについて紹介します!

古民家は室礼と間仕切りの考えでつくられています
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襖と障子の違い

腰付障子と襖

日本の伝統的な家は建具をつけたり取り外したりすることで、部屋を増やしたり開放的なひとつの大きな空間にもできることが大きな特徴のひとつです。

襖は障子と並ぶ代表的な建具ですが空間を仕切るだけではなく、絵や模様がほどこされる室内装飾としての顔もあります。

ゆるこ
ゆるこ

間仕切り装飾にはほかにも欄間がありますね

同じように木の枠組みと和紙が張られてできる襖と障子ですが、よく見るとこんな違いがあります。

障子
和紙だけでなく布も貼られる和紙やガラス
枠の両面に貼られる枠の片側にだけ貼られ木組みが見える
貼り替えではなく、上から新しい和紙を貼り重ねることが多い古い和紙を剥がして貼り替える
マドレーヌさん
マドレーヌさん

確かに襖には厚みがある感じするね!

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襖の形の種類

ここでは襖の形状の種類を紹介します。

縁の有無で大別される襖

襖の形状には縁の有無で大別され、縁付襖(ふちつきふすま)縁無襖(ふちなしふすま)の2つがあります。

縁の有無
  • 縁付襖:一般的で、多くが縁付きの襖
  • 縁無襖:装飾を必要としないシンプルな空間を好む茶室や、給仕口など。現在の住宅でもデザイン上モダンな印象を与えるなど意図的につけない場合がある

代表的な襖のかたち

縁付襖(ふちつきふすま)

縁有襖

ごく一般的に広く使われている縁付襖です。

写真のような装飾がないシンプルなデザインは現在の住宅でも取り入れやすいため今でもよく見ることができます。

縁無襖(ふちなしふすま)

太鼓襖のイラスト
写真が見つからず……

縁無襖は太鼓襖(たいこふすま)や坊主襖(ぼうずふすま)とも呼ばれます。縁がないので、まっさらなキャンバスのようにみえることもあります。

またシンプルなデザインを活かすため、手が引っかかるくらいの切り込みをいれただけの「切り引手」が一緒に用いられることが多いです。

源氏襖(げんじふすま)

源氏襖

部屋への採光のために襖の一部に障子を組み入れた襖です。

古民家は室内が薄暗くなることも多いため、空間を間仕切ったときに襖だけだとかなり真っ暗になってしまうこともあります。その時のための工夫ですね。

源氏腰襖
腰から上にガラスや障子が貼られた源氏腰襖もある

戸襖(とぶすま)

戸襖のイラスト

戸襖は片面が襖、もう片面が板戸になっている襖です。

最近では和室側を襖に、洋間側をドアのようにデザインされるものもあります。

6パターンの襖和紙の貼り方

さまざま自然の絵など描かれる襖ですが、ベーシックな貼り方として一貫貼り、細工貼り、腰貼り、引手貼り、帯貼り、袖貼りの6パターンがあります。

襖の貼り方
川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)209ページを参照して作成

緑色の部分は色違いや素材違いの和紙や布を貼ることで変化をもたせています。

マドレーヌさん
マドレーヌさん

確かにどれもどこかでみたことがあるような気がする!

襖に使われる和紙の種類

襖の和紙や布は実際にはベタ貼り、袋貼り、上貼りなど3枚以上が重ねられています。

鳥の子

中でも人の目に見える上貼りによく使われる和紙は「鳥の子」です。雁皮(がんぴ)と呼ばれる植物が原料となっている越前和紙です。

ゆるこ
ゆるこ

淡い黄色が卵の殻の色に似ているから「鳥の子」なんだそうです

鳥の子の種類
  • 手漉き:「本鳥の子」
  • 機械漉き:「鳥の子」「上新鳥の子」「新鳥の子」
マドレーヌさん
マドレーヌさん

名前がかわいいね

その他の和紙の種類

和紙のイメージ

襖に使われる和紙は原料や色の違い、また生産地によって特色があります。それぞれの見た目やテクスチャによって多くの襖のデザインが生まれます。

色鳥の子顔料で色をつけた和紙
杉皮紙杉の繊維を漉いた和紙
細川紙楮(こうぞ)というクワ科の植物を原料とした光沢のある淡い黄色の和紙
芭蕉紙イトバショウを使った沖縄の和紙
洋金箔平押し襖全体に金箔が貼られた和紙
彩雲紙越前和紙に銀箔を雲状に流し込んだ漉き紙
揉み紙手で和紙を揉んで皺をつけたもの
落水紙漉きあげてすぐの和紙に水滴を落として水玉模様をつけた和紙

コレクターもいる襖の引手

障子はついつい木枠部分で開け閉めしてしがいがちですが、襖は骨組みが露出していないので開け閉めには必ず引手に手をかけることになります。そのためしっかりしたつくりのものが多いのです。

襖の引手に使われる素材や繊細なデザインはバリエーションが実に多く、古いものはアンティークともなり引手だけを集めるコレクターもいるほどです。

引手の素材
  • 真鍮、鉄、銅、銀などの金属
  • 黒檀や柿などの木
  • 陶器 など

丸っぽいものをよくみますが、丸にこだわらずいろんなデザインがあります。

四角やひし形だけでなく、襖に描かれた花などの植物と同じ形に同化させてあったり、遊び心あふれる「芸術品」とも言えるものが残っています。

そんな古い引手は引手職人に作られた今ではとても価値あるものなのです。古民家を訪れた際はぜひ引手にも注目して見てみたいですね。

楽しみどころが多い襖

「襖って古くさいな」というイメージを持っていた人も多いのではないかと思いますが、和紙の種類、装飾デザイン、引手の組み合わせでデザインは膨大です。

古建具としての襖には今では貴重なものとなっている襖もあります。また今はとてもモダンなデザインの和紙が貼り替え用としても販売されています。

古民家だけでなく、和紙や引手を変えてみるなど家の和室にもこだわって取り入れてみると新鮮に感じられるかもしれません!

<参考書籍・参考サイト>

川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、CAINZ Reform「障子と襖の違いとは?特性・歴史・構造などを徹底解説!」、日本の内装材料辞典「襖の引き手」

ネット通販のほか、古民家再生協会の公式ページからも購入できます
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