古民家再生、改築?再築?移築?7つの用語の違い

移築のイメージ古民家を知る
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古民家再生でよく使われる改築や再築と言った用語ですが、いろいろ出てくると結局何がどう違うのかはっきりと区別できないこともあると思います。違いがわかると古民家にも色んな選択肢があることがわかります。

今回はこれらの用語について分かりやすくまとめました。工務店さんなどによって多少解釈が違うことはありますのでご注意ください。(写真はそれぞれイメージ写真です。)

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リフォーム

改築イメージ

リフォームには改築や改修がありますが、実は建て直すか補修や作り替えするかの大きな違いがあります。また、かなり幅広い意味では後述する増築や減築もリフォームとすることもあります。

改築

家の位置や面積は変わりませんが、一部または全部を取り壊すのが改築です。今の家と規模や構造、間取り、各部の用途、階数などを取り壊した部分を同程度のものに建て直します。

改修

改築と違い、文字通り修繕・補修となるので家の構造や間取り、各部の用途は変えません。屋根や外壁の補修やメンテナンス、水回り(バスルーム、キッチン、トイレなど)の交換や修繕、和室を洋室にするなど建物自体は変えずに家の一部を変更するのが改修です。

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増築

今ある家は壊さず、床面積を増やすことです。現在では家族が増えた時に平屋を二階建てにしたり、サンルームを作り足したり、規模の大きいものは二世帯住宅にするなどがあります。

築200年以上たつような古民家ではその長い年月の間に増改築を繰り返してかなり巨大な家になっているものもあります。昔は敷地も広かった為、どんどん建て増しができたようです。ただその分家の奥にいくほど暗くなっていたり、瓦が広がりすぎて屋根が重く雨漏りしてしまったり、伝統構法在来工法が複雑に混じり合う構造になっていたりします。

伝統構法についてはこちら
在来工法についてはこちら

減築

増築と反対に今ある家の一部を撤去して床面積を小さくすることです。現在では一家族の人数が減っていることから大きい実家を核家族が住めるだけに小さくしたり、二階建てを平屋にしたりします。減築することで固定資産税も軽減されたり家の管理がしやすくなります。

大きくて寒さもつらい古民家も、必要な分だけ残す減築を行うことでコンパクトで室温調整もしやすい家にすることができます。また解体費にもよりますがすべてを改築するよりも低コストで済みます。1つの古民家をまるまる失ってしまうより可能な限り残して使い続ける手段の一つです。

再築・伝統再築

再築イメージ

再築は古民家の再利用できる古材などを活用し、人や環境に配慮した長期耐用住宅に生まれ変わらせることです。伝統再築としても使われる用語で、現在の建築基準法には規定がない伝統構法で建てられた家を木造建築の規定には沿いつつ、良さを残したまま住める状態に再生させます。

伝統再築には建築士の資格をもち伝統構法や耐震の知識のある伝統再築士が携わります。

伝統再築士さんがいます

新築

日本の長期耐用住宅を残す手段として移築や新民家の建設があります。これらは法律上は新築になります。

移築

解体のイメージ

今の家の位置から解体して移動させ、別の場所で元の家の通りに建て直すことです。

家を骨組みまですべて外していく作業で大工さんは昔の大工の仕事を目の当たりにする機会となり、使える古材の仕分けや洗浄なども行います。受け入れ先では巨大な立体パズルのように組み立て直していきますが、呼吸する木は変形するためほぞや木組み部分が元の通りはまりにくかったり大変な技術の必要な作業です。

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また移築には曳き家(ひきや)という家を解体せず、基礎を引き上げてそのまま移動させるという方法もあります。海外の道が広い国でやっているようなイメージですが、意外にも日本でも行われることがあります。周囲の環境が変わって日当たりが悪くなった民家が家の向きや場所を変えたり、伝統建築物などの維持保存のためそのまま移動させます。

新民家

建築後50年以上経って古民家となる資材、工法を使って新たに建てられる家です。古材や新材に限りませんが、長寿の家を作るのに欠かせない自然乾燥させた木を使った木造住宅となっています。建てては壊しを続けてきた日本ですが、長く済み続けられる持続可能な循環型の家づくりが始まっています。

新民家についても相談できます

今さらですが、古民家再生ってなに?

先日ネット上で「元に戻さないのであれば、それは古民家再生ではないのではないか」と書いている人がいて妙になるほどなぁと思ってしまいました。改築したり減築したりして原型を留めていないのであれば意味がないのではないかということのようです。

確かに古民家再生と聞くと古いものを再生させて元のまま残すことが目的のようにも聞こえますね。でも古民家はお城のように歴史的建築物である以前に民家なのです。本来人が住まうもので、人が住んだり使ったりすることで残っていきます。

高度経済成長以降、古民家はとても長い間置き去りにされてきました。その中で私たちは古民家だけでなく、それまでの自然と共存してきた暮らしもまた置いてきてしまいました。再生させるのは家だけではなく人の暮らしでもあります。家と人が一緒に生きられる状態に再生させる。それを含めて古民家再生なのだろうと思います。環境問題を人間問題と言われているのを聞きましたが、古民家再生でいうなら暮らし再生とも言えるのかもしれません。

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<参考書籍・参考サイト>

川上幸生「古民家の調査と再築」一般社団法人住まい教育推進協会(2019)、降幡廣信「古民家再生ものがたり これから百年暮らす」晶文社(2005)、石川るい子編著 清水康造監修「古民家暮らし私流」飛鳥新社(2002)、株式会社テンイチ「増築と改築の違いは? 理想のリフォームを実現するコツを教えます!」、LIFULL HOMES PRESS「減築6つのパターンとその効果。減築をめぐる現状と今後の可能性は?」、ハウスネットギャラリーリノベーション「減築リフォームで固定資産が抑えられる」株式会社湯本工務店「曳家(ひきや)とは? [住まいの豆知識]」

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