久しぶりの古民会!行く前から楽しみ過ぎて震えていたマドレーヌさんとゆるこが向かったのは福岡市中央区の手打ち蕎麦 やぶ金です。
気づけば古民会発足から1年以上が経っていました。そんなタイミングにぴったりの古民家に出会えましたよ。
間があきすぎて古民家欠乏症になるとこでした
癒し求めてたよ、ほんと
手打ち蕎麦 やぶ金(やぶきん)は築約87年
やぶ金は福岡市中央区大名にある手打蕎麦のお店です。大名という天神のなかでもファッショナブルなエリアを歩いているとこの古民家がふいに現れます。
公式サイトによると創業は昭和25年とのことですが、大名のこの土地には昭和50年に移転したようです。お店の方によると建物自体は築86、7年とのこと。1936(昭和11)年頃に建てられたことになります。
この建物は創業160年以上にもなる博多の老舗醤油 上久醤油の経営者ご家族がお住まいだった私邸で松村家住宅「松楠居」と呼ばれています。松はお名前からでしょうか。楠の文字が入っているので材木としてクスノキが使われているのかもしれません。なんにせよカッコいいですね。
私も自分の古民家を持てたら名前をつけるわ!
お店の目の前には上久醤油の工場があります。上久醤油の所有建築物11件(松村家住宅4件含む)は国の登録有形文化財に指定されています。しかもそれらの一部は一般にも公開されているのでぜひ訪ねたいですね!
松楠居の門をくぐる
天神西通りから一本脇道に入って少し歩くとうっかり見落としそうになるほどさりげなく、でも気づくと控えめな存在感を放つ松楠居の門があります。
木の色がもう色んなまだらになっていて年月を思わせます。下の方が白くなっているのは雨に当たりやすいからでしょうか。
控えめな佇まいなのに、しっかりと支える木の力強さを感じさせます。縦格子の引き戸が開け放たれていて、奥の玄関で風にゆれる白いのれんが見えます。これだけですでに絵になる光景です。
メニューも鴨せいろだけぶら下げてあるのがなんとも乙
門をくぐって玄関まで歩を進めると、小柄な門からは想像できなかった大きな古民家が目に飛び込んできます。福岡城のお膝元だったはずのこの土地でこれだけ大きな家を構えていたとはさすが老舗醤油メーカーのオーナーです。
門と同じ縦格子にガラスがはめ込まれています。組子の一本一本がそれぞれの色を持っていて、それでいて全体的には調和しているのがぐっときます。久々の古民家来たわぁとうっとりです。
障子などの建具に使われる格子を構成する細い木材やその模様のこと。釘や金具は使わず組まれる
私の将来の古民家の玄関もこれにしよう……
上を見上げるとなかなか迫力があります。窓ガラスが多く解放的で明るいお二階を想像します。
ちなみにこの二階ではイベントなども開催されているようで、直近ですと10月20日に『落語と蕎麦を楽しむ会』が開催予定だそうです。素敵な日本家屋で伝統的な文化を楽しむ空間作り、古いものが現役で生き生きしていて嬉しくなりますね。
落語は全然分からないけど行ってみたい!
やぶ金の店内へ
玄関を開けてお邪魔します。
玄関は少し暗くなっていて暑い外から入ってくるとホッとします。お客さんがすでにいらっしゃったので玄関全体の写真は撮れませんでしたが、玄関土間、式台、上がり框と伝統的な玄関様式になっていてなんだか懐かしさを感じます。大きすぎない玄関に親近感です。
玄関土間と床までが高い場合に設置される板。玄関に上がる踏み台にしたり靴の脱ぎ履きの時に腰掛けるところ。
店内に入ると右手に4つほどテーブル席があり、奥にさらに3つありました。つきあたりには写真のおひとり様席も用意されていて、一人でも気軽にお蕎麦を楽しめます。外の景色を見ながらゆったり過ごせて一番いい席かもしれません。
お店仕様に多少改装されている感じはありますが、床や奥の廊下、建具は当時のままのようです。床はきれいに磨かれていてツルツルピカピカでした。
女性が一人でさっと食べていったの、カッコよかったね
きゃっきゃ言いながらのんびりしてた私たちとえらい違いでしたね笑
松楠居の坪庭を臨む
松楠居のみどころの一つはやっぱりこの坪庭ではないでしょうか。小さいけれどよくお手入れされていて、この縁側兼廊下でひがな一日体育座りして眺めていられそうです。
この廊下には全面ガラスがはめこまれた戸が並んでいるのですが、このお庭を楽しむためにそうしているのかもしれません。
お、おしゃれ過ぎる……
上の写真、向こうに明かりが灯っている部屋見えますが、外の濡れ縁がかなり年老いています。座ったら壊れそうな古びっぷりが愛おしい……。
雨戸やガラス戸で仕切られていない縁側。雨がかかるため濡れ縁と呼ばれる
雨が降ったら、緑が濃くなって一層きれいかも。しとしと雨の日ここに寝っ転がって眺めたい……
やぶ金のお手洗い
なんかほんとお手洗いまで毎度すみません、という感じなんですが、やぶ金のお手洗いは筥崎とろろ以来の素敵っぷりでテンション上がりました。
まずはこちらのお手洗いへ続く廊下。ここに立っているだけで古民家空間にどっぷり浸かれます。もっとジロジロガラス戸を見たり、この窓のすりガラスを触ったりしてみたかったのですが、向こうの客席から見られると完全に変人なので我慢です。しかしこの床渋い……。
コロナなご時世、あまりどこそこ触るわけにもいきません……
お手洗いにたどり着くといきなり別の世界です。昭和のドラマの撮影現場のようなんですね。
ドラマでしか見たことないような背の低い手洗い場。昔のものをそのまま使ってあるようです。確かに古いのですが、ジメジメしているわけでもなく、こざっぱりとした清潔感があります。水回りは傷みやすそうなイメージですが、長い間大事にきれいに使われてきたのだなぁと感じました。
窓ガラスの格子模様がおしゃれ……お手洗いにも美しさに手を抜かない昔の職人さん、あっぱれなのです。
手打ち蕎麦 やぶ金を味わう
この日はかなり蒸し暑い日だったので、二人ともおろし蕎麦を頂きました!蕎麦が隠れるほどたっぷりのったおろしと薬味。おろしはもちろんですが、削りたての鰹節は初めてで良いものを頂きました。さっぱりしたおろしとコシのある手打蕎麦、最高でした!
最後にはしっかりそば湯も堪能できます。まずはそのままストレートに飲むととろっとろで美味しく、そばつゆを入れるとふんわりとしたお出汁が口の中で後をひいてまた美味しい!
私はつゆなしのそば湯、永遠に飲んでられるわ!
寒くなったら温かい鴨南そば、食べにいきます。
お店の女将さんやスタッフの方もみなさんとても丁寧で親切でした!女将さんは声をかけると建物のことを教えてくださって色々あったかいお店です。
手打ち蕎麦 やぶ金 店舗情報
住所 :福岡県福岡市中央区大名2丁目1−16
TEL : 050-5494-0840
<営業時間>昼の部 11:30~15:00
夜の部 17:00~22:00
蕎麦はなくなり次第終了
<定休日> 水曜日
<駐車場>無(近隣コインパーキング)