今回の古民家は福岡市博多区にあるみやけうどん。生粋の博多うどんを出すお店として地元でも有名ですが、あの『孤独のグルメ』で五郎さんが立ち寄ったお店としても知られています。
今回はゆるこが偶然みつけてマドレーヌさんを差し置きひとりで訪ねちゃいました汗
ひとり古民会ずるーい!私もいきたーい!
みやけうどんは築約97年
みやけうどんは福岡市博多区の呉服町にあります。そもそも博多自体が古代から続いた大きな遺跡の上にある町とのことで、呉服町は寺社町の一つです(寺社町は御供所町、上呉服町、中呉服町の総称)。その名前の通り、呉服商人やお寺が集まる歴史あふれる街並みです。
古民会としては攻めないといけない町ね!
みやけうどんの建物は築約97年、大正14年に建てられました。お店の開店は昭和29年とのことで68年前ですね。古い建築物が集まる呉服町の中でも一際目立つみやけうどん。元長屋の一部だったというこの外観をみると昔の博多がここにぎゅっと凝縮されたような雰囲気を感じます。「あ〜昔の博多はこういう建物が並ぶ街並みだったんだな〜」と誰しもに思わせてくれそうです。
木の看板の「うどん」がほぼほぼ消えてます。どデカうどんちょうちんがナイスです
しぶすぎる みやけうどんの店内
店内はなんというか五郎さんも思わずもらした通り「しっぶいなぁ」です。五郎さんでしっぶいのだから、ゆるこは場違い感すら感じて一瞬たじろぎそうになりましたが、「いやいやここは庶民の食べ物うどんのお店。そして私は生粋の庶民よ」と胸張って入ります。
修復されたみやけうどんの入口と壁
お店を入って右側はすべてテーブル席になっています。と、その前にこの写真なんだかちょっと違和感ありませんか?気づく人は最初の外観写真で気づくかもしれませんが……。
あれ?入り口の引き戸が3枚しかない……?実はゆるこがお店に入る時もどこから入るんだろうと一瞬戸惑ったのですが、おそらくこの3枚しかない引き戸に困惑したものかと思います。お店の方によると2005年(平成17年)の福岡県西方沖地震で被害をうけ、みやけうどんも当時大きく傾き修復されるまで立ち入り禁止対象になっていたようです。4枚あった引き戸の1枚は修復時にとっぱらざるを得なかったとのことでした。
壁もしかりで、先ほどの入口側の壁は修復されたものですが、お店奥の上の写真の壁は昔の漆喰壁のままだそう。「叩いてみてー」とお店のおじさんに言われてやってみると、修復後の入口側の壁はコツンコツンと軽い音をたてましたが、この漆喰壁はゴッゴッと厚みを感じさせるくぐもった音がしました。17年ほどたった今は修復された壁もいい感じに馴染んできて元の壁とほとんど見分けがつきません。柱がまだ新し目に見えますが、きっとそのうち自然な色に染まって行きそうです。
それにしても長屋の他の部分は地震前に既に建て替えられてきた中で、地震被害に遭っても修復の道を選んでくれたお店のご主人たちに感謝です。2005年になくなっていたらもう会えなかったのですから本当にありがとう、ありがとう。
みやけうどんのお座敷、カウンター席や厨房
左側には座敷やカウンター席、厨房があります。座敷は元々たばこ屋さんだった部分を地震の修復時に座敷に作り替えたそうです。
お水のセルフサービスのそばが厨房の入口になっています。ここの建具はおそらく元々あったもので真っ黒です。店内所々同じ状態になっているところがあります。この黒さで店内がなんとなくどっしりしていて渋さに輪をかけているように見えます。
申し訳程度に取り付けてある手洗い場がほほえましいのです
このカウンター席のイスの黒光りがすごいですね。これらはもともと使われていたもので、これまでの長年の人々の行き来が感じられます。オープンキッチンなのでカウンターテーブルには油が染みてツルツルの気持ちがいい肌触りです。上に貼られている山笠の法被の張り紙や白黒写真が博多を感じさせますね。
オープンキッチンってみやけうどんには合わない気がするけど笑 他の言い方が分からないわ。対面型厨房?
みやけうどんを支えるものたち
みやけうどんにあるものはどれも年季が入っていてひとつひとつ見応えがあって楽しいので一部ご紹介します。
みやけうどんのテーブルやカウンターテーブルは座敷席を除いてすべて一枚板のものです。これらは地震の被害を受けず使われ続けています。それにしてもテーブルってこんなに色が変わるの?!というくらい色ムラがでています。普通手元がよく当たる端っこが擦れてきそうですが、どのテーブルもなぜか真ん中が白く薄くなっている感じです。お客さんが入ってこられて聞きそびれてしまいましたが、これはどちらが元の色なんでしょうね……。しかし立派なテーブルなのです。
ゆるこが今一番欲しいもの、それが一枚板のテーブル……今はなかなかお値段はります
大きな茹で釜です。出汁が入った徳利が3つ釜の中でゆらゆらしつつお客さんを待っています。注文が入ったらあらかじめ茹でておいた太麺のうどんをこの釜で温め、椀もこのお湯で温め、温められた出汁が注がれたら最後は私たちのお腹を温めるという、なんとも懐深い偉大な釜です。
鉄釜だからうどんで鉄分摂れるよと笑ってらっしゃったお店のおじさん。話によると数十年おきに変えているけれども、今はこんなに大きな鉄釜を作れる人は1人しかいないそうで、古民家存続と共に釜の問題があるのかと古くていいものを続けることの難しさをあらためて感じました。
確かに古民家はまだ職人さんがいるけど、釜の職人さんかぁ……
みやけうどんを味わう
最後にしっかりうどん頂いてきました。実はゆるこはうどんがすごく好きなのです。テーブルには七味とネギが置かれていて、ネギは盛り放題です。盛り放題ですが、お出汁とうどんでもうお椀がいっぱいいっぱいですから最初はそんなに盛れず追いネギになります。
今回はごぼう天うどんを注文。確か、すうどん320円+ごぼう天80円だったかと……。いなり50円も気になっていましたがこの日は残念ながら売り切れ。しかし安いだけじゃない!博多うどんらしいやわやわふわふわの太麺がやさしく、そして透き通ったお出汁で心洗われます。最近色々あって心が汚れてしまった、という方はぜひこのうどんで洗浄することをおすすめします。穏やかな気持ちになれること間違いありません。
みやけうどん 店舗情報
住所 :福岡県福岡市博多区上呉服町10-24
TEL : 092-291-3453
<営業時間>11:00〜17:00
<定休日> 日・祝
<駐車場>近隣コインパーキング