古民家探訪16 かどや食堂

かどやの外観福岡市博多区
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今回は福岡市博多区にあるかどや食堂。角にあるから、かどやさん。美野島周辺をぷらぷら散歩していたら見つけました。美野島はよくよくみていると古い建物がちょこちょこ残っていて気軽に下町ノスタルジーに浸れるエリアです。

ゆるこ
ゆるこ

今回はゆるこのひとり古民会!

マドレーヌさん
マドレーヌさん

行きたかった〜……

歩くだけでも楽しい美野島商店街。トップページの動画がすごくいい!
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かどや食堂は築約102年

かどやは福岡市博多区の美野島商店街の通りにある食堂です。お店の方によると創業が大正9年(1920)とのことでお店もその頃から。102年間屋号も変わらず、今も昔も庶民のお腹を満たしてくれています。

かどやができた大正9年頃、美野島にはちょうど大日本麦酒 博多工場(現アサヒビール博多工場/2025年稼働終了予定)、日本足袋株式会社(現アサヒシューズ/会社の一部はブリヂストンに独立)など日本を代表する企業の工場が次々と建ち始めました。昭和31年には日本足袋株式会社の跡地に九州松下電器(現パナソニック)が招致されています。参考リンク

かどや食堂のパン
アイスはもう無かったけど小さなパンが11個も入って150円。最近の高くておしゃれなパンも良いけど、素朴で気軽なこういうのがいいんです。

工場で働く人たちとその家族の生活を支えてきた商店街で、戦争で飢えの恐ろしさを経験した2代目かどやのご主人は「誰でも食べられるように」と廉価で食事を提供してきました。今では大きな集合住宅が多くなりましたが、現在も4代目が夏になると作る1本50円で販売される手作りアイスキャンデーは地域の人たちに人気です。

かどやのインスタグラムから。西日本新聞の記事を参考にしています
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切り取られたかどやの角

かどやの入り口

かどやに近づくと低い庇の下に素朴な木枠の窓、その向こうにお店の方のうしろ姿が見えました。「やってますよ」という感じが伝わってきます。街を歩いていると何のお店で、やっているのかも分からないドアを開けるのが怖すぎるお店もある中、「あ、やってる!」と安心して入っていけるのがかどや食堂です。

かどやの角
車などの侵入を防ぐために角部分には大きな石を置いたそう

ところでかどやのこの建物、入り口付近が1階2階とも斜めに切り取られています。お店の方によると昔の建物は区画に合わせてどの家も真四角、角も直角でしたが「法律で切れってなったのよ」とのこと。調べると昭和5年(1930)頃から国や自治体からのお達しで角地の建物は徐々に隅切りが義務化され参考リンクかどやの建物の角部分もやむなく切ったということのようです。

隅切り(すみきり)

見通しを良くしたり通行しやすいように、敷地の角地を道路化させること

最近の建物はすでにそういった建築法や道路交通法の施行後のものなので、最初から角は空けて建てられています。でも元々あった建物まで「切ってください」ってなんだかとんでもないなとびっくりしました。当時は角に建つ家はどこも大変だったことでしょう。建物から時代のできごとが分かって面白いです。

ゆるこ
ゆるこ

そんなこと言われたら「は?!」ってなるよ。

当時どうやって角を切ったんだろう……

マドレーヌさん
マドレーヌさん

切っても全然揺らぐことなく100年以上立ってるのがすごいね!

かどやの2階を見上げる
2階の窓はギリギリ切り取られず。まだ木枠が残る窓。笹の葉柄のすりガラスは建てられた当時のもの。

かどや食堂の貫禄ある木壁と貴重なすりガラス

お店に入るとすぐ右手にはメニュー棚と注文するカウンターがあります。かどやは先払い。時間が遅くなると残っているメニューが紙に書いて貼ってあります。

かどやのカウンター

奥に見える木壁や梁の黒さといったらないですね。100年以上浴びてきた日光や油で変色したかと思いますがもはや元の色の想像がつきません。化学塗装では出せない堂々たる木材の貫禄です。

かどや奥のすりガラス

すりガラスは2階と同じく大正当時のもの。一部割れてしまい変えようとしたそうですが同じものは手に入らなかったそう。貴重なガラスです。

かどやの店内

店内はこじんまりとしつつも4人掛けのテーブル席が4つ、2人掛けのテーブルが6つとピーク時には賑やかそうです。(窓やドアは開けて換気しています。)壁や床は木造ではないものの昭和感満載です。

かどやの窓際

道路に面した席です。この隅っこの席が大変居心地がいいのですね。テーブルや窓をなでなでしながら、ひがな一日座っていられそうです。

かどやを支えてきた什器たち

かどやのイスとテーブル

お店の方が真っ先にお話してくれたのがこのイスとテーブル。ここにある木の丸イスとテーブルはすべて創業当時からあるものだそうです。特に椅子は金属を一切使用せず木釘がはめ込まれており、きれいな弧を描く背もたれがとても素敵です。(背もたれは窓際の写真で見てみてください。)

テーブルも天板こそ変えてありますが、足などは元のままで年輪がはっきり見えるところまであります。

マドレーヌさん
マドレーヌさん

すごいね、さすっていたわってあげたくなるね

ゆるこ
ゆるこ

私、このイスがほしい……

創業時からあるというおかもち!全くガタがきているわけでもなく現役で使えそうです!水分も多いはずなのにカビもなくきれいに残っていました。大事にされてきたのが分かります。

おかもち

かどや食堂を味わう

かどや食堂はとにかく安いんですね。最近のすさまじい物価高でどこも値上げをしてるというのにどうもかどやはお値段据え置き。2代目ご主人の意思を継いでいらっしゃるようで頭が下がります。

人気のカツ定食は500円。他の丼ものもすべてお味噌汁、おしんこがついて500円未満。かけうどん・そばは300円です。小麦粉も高いのになんだか心配で、どうしましょう、この安さ……。

かどやのメニュー

ゆるこが訪ねたのは14:30頃。写真を撮ったりお話が聞きやすい時間帯になるべくお邪魔したいので、ピーク時は避けて行くようにしています。ただかどや食堂は無くなったら終わりです。この日なんと私のご飯が最後の1皿となりギリギリセーフでした。よかったー。みなさんは14時ごろまでには来てほしいそうです。大体15時には終わります。

かどやの天丼

頂いたのは490円の天丼(お味噌汁・おしんこ付)!甘辛ひたひた系のお出汁と溶き卵からしっぽを出す2本の海老。いや、まさか海老天丼が490円で食べられるとは……白米もほくほくおいしい最高のお昼ご飯でした。ごちそうさまでした。

ゆるこ
ゆるこ

お店の方が建物について親切に教えてくださいました。ありがとうございました!

かどや食堂 店舗情報

住所 :福岡県福岡市博多区美野島1丁目12−9
TEL : 092-451-4653
<営業時間>11:00頃〜15:00頃
<定休日> 日
<駐車場>なし

かどやを横から見たところ
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