2023年3月3日放送のテレビ朝日「モーニングショー」で日本の古民家や空き家を愛するアメリカ出身のおふたりが紹介されていました。実は以前にも2022年9月5日放送「news every.」でも紹介されています。
日本ペラペラどころか伝統家屋に関する用語もポンポンでてくるおふたりは普通の日本人より確実に知識が豊富でなぜかアセりを感じましたが、なんと日本の古い家を愛するあまり仕事にしてしまったほどなのです。
もうこちらが学ばせて頂くしかありません!おふたりや「モーニングショー」、「news every.」の内容について紹介します。
アメリカ出身のマットさんとアレンさんはどんな人?
空き家ハンターとして紹介されたおふたりはアメリカ出身。マットさんは14年前に英語教師として、アレンさんは留学生として16年前に来日しおふたりともそのまま移住しています。「モーニングショー」出演時は真っ赤なオールドファッションカーで登場し、個性的なファッションも目をひきました。
なんだかおもしろそうな人たちって感がハンパない
そんなおふたりは……
- 日本の古い家が好きすぎる
- 趣味で日本中の空き家や古民家を1000軒以上見て回る
- 日本家屋の知識が豊富
- 空き家情報を独自にデータベース化(大量の情報を整理しまとめる)
- 3年前から外国人向けに空き家ビジネス「AKIYA&INAKA」を始める
日本家屋の知識がとにかく豊富
1000軒もみているほどですので、そこから得られた知識も相当です。「モーニングショー」では網代(あじろ)天井を評価したり、「news every.」では価値の高い彫刻欄間を見つけて「手彫りで今は高いですよ!」とこっちは日本人なのにアピールされてしまいました。
雪見障子を上げながら、「ちゃんと使われていたからこうやって動かせる」と見せてくれます。もう弟子になりたくなってきますね。
掘り炬燵にも喜んでいたのですが、床に座る文化ではない欧米人にとって掘り炬燵は助かるのだそうです。なるほど〜!とこちらも感心してしまいます。
「門かぶりの松、最高じゃん!」っていうセリフはあんまり聞かない笑(news every.)
空き家ビジネスのきっかけ
おふたりは元々移住してしまうほど日本好きですが、特に日本の古い家が好き過ぎて副業にしてしまっています。
ビジネスにし始めたのは新型コロナで、最初は日本国内に住む外国人たちが街中より安全な田舎の物件を求めて相談されたことがきっかけなのだそうです。その後Youtubeで物件動画を公開したところ海外からの問い合わせも増えていったとのこと。
番組内では2人の紹介で港区から神奈川の神社の宿坊を買い取って移住した外国人が紹介されていました。仕事はテレワークのため、残されていた囲炉裏で料理したり自然が多いの中で過ごせて気に入っている様子でした。
日本の空き家が外国人に人気の理由
日本人とはちょっと違う視点をもっている外国の人にとって日本の空き家のどんなところが魅力なのでしょうか?
和の雰囲気を求める
外国人はやはり典型的な日本の家を求めています。軽井沢などにある物件も洋風のものがほとんどであまり魅力はない様子です。日本なのに数が少ない日本家屋は外国人には重宝されるのですね。
日本人がみると「古くさい」と一蹴されてしまうような日本の家でも外国人にとっては魅力的で、悲しいですが日本人よりも価値を感じているとも言えます。
手間暇かけなくても住める家がある
「news every.」では東京・八王子市の築40年の住宅を訪ねていたのですが、確かにパッと見はかなりきれいな状態です。先述した門かぶりの松や雪見障子、彫刻欄間、坪庭や灯篭などかなりのこだわりをもってつくられた家です。
それでいて古民家としては新しく、すぐにでも住めそうな状態であれば欲しい人にはありがたい物件でしょう。
日本人であれば古いところを新しくリフォームしてしまうことも多いですが、先述の神奈川の宿坊に移住した方のように、囲炉裏などできるだけ昔のまま壊さず使おうとしているようです。(もちろん必要に応じて、ではあると思いますが……)
家財道具などがそのまま残っている
空き家は家主が家財処分していないことが多いため、そのまま大量に残っていることもしばしばあります。この家財処分は家によっては費用が数10万から100万円以上かかることもあります。家財処分のための補助金を移住者に出している自治体もあるくらいですので結構大変です。
そんな家財道具も外国人から見ればお宝のようなもので何がでてくるのかワクワクして掘り出し、掛け軸や塗り物があれば喜ばれるようです。
日本の古い家は割安
これは日本人にとっては悲しい事実でもあります。欧米諸国では家もビンテージものと同じで古ければ古いほど価値あるものとされ、家をメンテナンスしながら多くが数世代に渡って暮らしています。
日本もこれまで固定資産税だけではかられてきた家の真価を見直し、家そのものの価値基準をつくろうとしてはいますがまだまだその考え方は広まっていません。そのためどんなに趣向を凝らしてつくられた家でも古いがために家主としても手放すことが難しく田舎では特に安く出されていることも多くあります。海外からの声も「こんなに安くていいの?」と言われるそうですが、よくはないのです。
また、昨今の円安の影響も外国人にとっては大きな追い風になっています。
外国人に人気の日本家屋はこんな物件
外国の人が欲しがる日本の空き家物件はセンスがいいのです!
土間や蔵、数寄屋づくりなどなかなかマニアックですね。蔵ではDIYを楽しみたい人もいるそうです。これらのラインナップをみると特に伝統構法にこだわっているというわけではなさそうで、在来工法でも十分見られるご要望ですし、紹介する側としても幅が広がりそうですね。
日本人はどう思っているか?
「モーニングショー」の放送後にTwitterでみんなはどう思ったのか見てみると賛成派も否定派もいました。要約します。
他にも民泊など営利目的を懸念する声もありました。否定派が多い印象でしたがツイートの数自体が少ないので判断しにくいところです。賛成派の意見も反対派の意見もなるほどなぁと納得します。
外国人が資産運用のために日本の不動産を買い占めることは国に法律をどうにかしてもらうしかありません。ただあくまで個人の印象ですが、古民家の場合は単純に「日本の家好き」というところが大きいような気がします。
どちらにしても問題が起こる時には起こると思うので、それなら多くの人が古民家や空き家を活用して一つでも多くの家が残ってほしいと思います。解体したら永遠に失われますし、倒壊してしまったら被害も出て元も子もありません。
「モーニングショー」でマットさんは日本の空き家のイメージが悪すぎる、と話していました。空き家をネガティブワードではなく、ポジティブワードに変えたいとおっしゃっていたのが印象的でした。
ちょうど本日(2023年3月3日)、空き家抑止へ増税措置として改正法案が閣議決定されました。管理不十分の家には固定資産税の減額が解除されます。増税や物価高が重なるなか大きな負担になる人もいるかもしれませんが、私たちも今一度周りにある「古い家」を新しい目で見直す時なのだと思います。
空き家をケアすれば未来がひらける。LOVEを空き家にあげたい
「モーニングショー」より。マットさん
やっぱりLOVEってすべてを救うね〜